●小品集の部

 雑誌「ももんが」に編者が所載してもらった四点の論考を収める。

 「アインスタインの平和的言説なるもの」
 これは1933年8月の「鉄塔」に由利保馬のペンネームで所載。

 「島木赤彦の想いで」
 感傷的な青年時代の追憶が記されている。1926年「アララギ」所載。

 「ナポレオンと物理学」
 1929年2月5,6日東京朝日新聞所載、他に「アルキメデスの墓じるし」同左12月6,7日所載、を含む。

 「寅彦序説」
 1948年5月に執筆され刊行されなかった原稿の復元。

 「チンダル『アルプスの氷河』について
 1962年3月14日から4回にわたってNHKで放送された各20分の講演を当時自宅で編者が録音したものを再現した。

●石原純短歌論

 1981年は我が国最初の理論物理学者石原純の生誕百年にあたり「科学史研究」に学問上の業績をまとめる試みが進行したが一方石原と歌の世界は切り離せないもので矢島はそのまとめを1981年以降志し「ももんが」の好意により1993年9月まで関連記事を連載する。
 「石原純短歌論1」
 「石原純と短歌」、「石原純と短詩」所載

 「石原純短歌論2」
 「アシビ時代の石原純」、「「アララギ」時代の石原純」

 「石原純短歌論3」
 「日光」以後の石原純」

 「石原純短歌論4」
 「石原純新短歌抄(1)」、「石原純新短歌抄(2)」

 「石原純短歌論5」
 「石原純新短歌抄(3)」、「石原純新短歌抄(4)」、「石原純新短歌抄(5)」、「石原純新短歌抄(6)」、「石原純新短歌抄(7)」、「石原純新短歌抄(8)」、「石原純新短歌抄(9)」

 「石原純短歌論6」
「石原純新短歌抄(10)」、「石原純新短歌抄(11)」、「石原純新短歌抄(12)」、「石原純新短歌抄(13)」、「石原純新短歌抄(14)」、「石原純新短歌抄(15)」

 「石原純歌論抄1」
 「石原純歌論抄(1)」、「石原純歌論抄(2)」、「石原純歌論抄(3)」、「石原純歌論抄(4)」、「石 原純歌論抄(5)」

 「石原純歌論抄2」
 「石原純歌論抄(6)」、「石原純歌論抄(7)」、「石原純歌論抄(8)」、「石原純歌論抄(9)」、「石 原純歌論抄(10)」、「石原純歌論抄(11)」

 
●デュエムのレオナルド研究の部

 ピエル・デュエルは科学史にすぐれた業績を残した物理学者で『静力学の起源』(1915)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ研究』3巻(1906、09,13)、『世界の体系』5巻(1913-16)がある。「レオナルド研究」には副題があり「彼が読んだ物と読んだ者」という。日本語の活字にすることを試みられたのは前者であると「デュエムのレオナルド研究(1)」の訳者序文に書いてある。「ももんが」に連載を始めたのが訳者83歳の1992年1月で終わったのは1996年8月である。

「デュエムのレオナルド研究1」
「デュエムのレオナルド研究(1)」― 「デュエムのレオナルド研究(10)」

「デュエムのレオナルド研究2」
「デュエムのレオナルド研究(11)」― 「デュエムのレオナルド研究(19)」

「デュエムのレオナルド研究3」
「デュエムのレオナルド研究(20)」― 「デュエムのレオナルド研究(25)」

「デュエムのレオナルド研究4」
「デュエムのレオナルド研究(26)」― 「デュエムのレオナルド研究(36)」

「デュエムのレオナルド研究5」
「デュエムのレオナルド研究(37)」― 「デュエムのレオナルド研究(44)」

●「すみれ草」の部

 矢島祐利の長女まさ子は1932年8月14日に生まれ1937年6月15日疫痢で死去した。「すみれ草」は追悼集で一周忌に当たり刊行された。

●歌人としての矢島祐利

 矢島祐利は1926年に大学を卒業するがその前年秋に麹町のアララギ発行所で島木赤彦から大学を出てからどうするのかと尋ねられたと書いている(「五味さんの思い出」)。
 矢島の小学校6年間の担任教官塚原七郎から教わった雑誌「アララギ」の歌人たちとの遭遇はこの頃始まったのである。

 歌人高橋慶子さんがまとめていただいた「矢島祐利『麦青きふるさと』」(「新アララギ」2013年5月号、pp.65-66)およびその補遺(同左、2013年7月号、p.135)を著者の許しを得て掲載する。なお、その文中にある矢島のアララギへの寄稿文(「石原純先生」同誌、1947年10月号、「ラザフォードと原子核研究の創始」同誌、1948年2月号、「五味さんの思い出」同誌、1957年12月号)も掲載した。

 高橋さんと矢島一家との関係は高橋さんが紹介しているように、ミセス註m創設の「友の会」会員家族である。編者矢島敬二も高橋さんの調査に協力した次第であるが母せい子のアララギ投稿時のペンネームが「藤枝那美」であることを知り得たのは嬉しい収穫であった。

・収録文:高橋慶子「矢島祐利『麦青きふるさと』」、矢島祐利「石原純先生」、同左「「ラザフォードと原子核研究の創始」、同左「五味さんの思い出」